1974年生まれ,神奈川県茅ヶ崎市出身。1997年に山形大学理学部生物学科を卒業,2002年に東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程を修了。博士(農学)の学位は「有殻渦鞭毛藻Heterocapsa属の分類学的研究」により水圏生物科学専攻で授与された。2002年から長崎大学水産学部でポスドク,2005年から長崎大学環東シナ海海洋環境資源研究センター助手,2007年から助教。2009年にデンマークのコペンハーゲン大学で在外研究。2010年から山形大学理学部准教授。2014年から東京大学アジア生物資源環境研究センター准教授。
専門は微細藻類の系統分類学。水域から採集した単細胞性の藻類を研究室で培養し,走査型・透過型電子顕微鏡を用いた細胞の微細構造観察と分子系統解析を行うことで,微細構造の違いと系統的位置に基づく分類研究を行っている。特に海産の有害渦鞭毛藻類を対象に研究を進めており,系統分類研究の成果を有害藻類の記載分類と識別,そして分布調査に応用している。日本国内でも有害赤潮による魚介類の大量斃死が例年起きており,また,東南アジアでは有害赤潮原因種による漁業被害だけでなく,有毒種を原因とする魚介類の毒化による食中毒の事例も報告されている。これら有害赤潮や貝毒の原因種の多くが渦鞭毛藻類であることから,東南アジアを中心に渦鞭毛藻を採集して類似種と識別し,分布域や移動の可能性について調査している。
現在はユネスコ傘下の政府間海洋学委員会(IOC)の西太平洋小委員会における有害藻類研究プロジェクト(IOC/WESTPAC-HAB)の代表として,特に東南アジア沿岸域を訪問しながら有害藻類に関する国際共同研究を進めている。東南アジアの食べ物や分化を楽しみながら,多様な微細藻類相の把握や未記載種の記載報告に取り組み,有害藻類と沿岸海洋環境に関する分野に貢献したい。