アジア生物資源環境研究センターは、1995年4月に10年時限の東京大学学内共同利用教育研究施設として設置されました。設置当初から、同時に開始された文部省科学研究費補助金創成的基礎研究「東アジアにおける地域の環境に調和した持続的生物生産技術開発のための基盤研究」(研究代表者:佐々木惠彦東京大学名誉教授)の中核を担う組織として、森林から耕地、水域にいたる生態系での生物生産を、それぞれの生態系の環境や地域社会と関連させながら総合的にとらえ、環境を修復・保全しつつ、生物生産の持続性を図るための方法論と技術を開発し、持続的生物生産のための基盤を構築するという課題に取組んできました。2000年3月に同プロジェクトが終了した後も、文部科学省科学研究費補助金を始めとして多くの外部研究資金を積極的に導入し、精力的に国際共同研究プロジェクトを実施し、アジア地域における生物資源の持続的利用に関する基礎研究を推進しています。
本センターは、第1期の時限到来前、国立大学法人化の前の2002年に自己点検評価を行いました。さらにその自己点検評価について、2003年に海外の研究者を含む外部評価を受け、センターの目的およびこれまでの成果について高い評価を得ました。2005年3月までの第1期に着実に成果をあげたことにより、法人化した東京大学において、2005年度よりラボワークとフィールドワークを同時に推進する新たなフィールドサイエンスの方法の開発という、生物資源環境学教育研究の先駆けとなる方法の確立を目指す全学センターとして研究教育に取り組みました。
2005年以降は、東京大学の中期目標・中期計画期間に合わせ、大学本部における評価を受けることになりました。第1期中期目標・中期計画期間(2004~2009年度)中の2008年に、中期目標の達成度について、自己点検評価、外部評価を行いました。この点検評価は、第2期中期目標・中期計画(2010~2015年度)の策定に向けて研究教育活動を見直し、改善を行うことを目的としました。3名の学内の委員による外部評価では、研究教育活動について高い評価が得られました。同時にいくつかの課題が挙げられましたが、その課題の解決を含め、研究プログラム制の導入と推進、海外研究拠点の形成・維持、国際交流の推進等に力点を置いた第2期中期目標・中期計画を策定して、研究教育活動を行いました。
2013年4月には、本センターの海外研究拠点を基盤とした国際共同研究の活動強化ならびに研究視点の多層化を目的に資源環境管理連携部門を新設し、国内外の大学・研究機関に所属する研究者を委嘱教員として配置しました。また2013年7月には、本センターが構築しようとしている生物資源環境学のこれまでの成果を取りまとめ解説した書籍(アジアの生物資源環境学-持続可能な社会をめざして-、東京大学出版会)を刊行しました。第3期での本センターの継続と研究教育活動の改善を目指し、2013年に自己点検評価を行い、国内外の研究者による外部評価を受けました。外部評価ではこれまでの成果に高い評価を得ると同時に、研究のさらなる進展と、それらをもとにした、持続的社会の実現に向けた諸問題の解決策の提示に対する強い期待を寄せられました。2014年3月には、本センターの第3期の継続が大学の役員会により決定されました。
2016年4月に学内の教員が兼務する領域創成協力部門を設置し、学内の連携を強化した上で国際共同研究とアジアの若手研究者育成とをさらに推進することを目指して第3期中期目標・中期計画(2016~2021年度)の活動を行っています。また2016年10月には、木材利用システム学寄付研究部門を農林中央金庫の寄附により設置しました。2018年12月に自己点検評価書を発行しました。
2019年から2020年に組織および基本目標の見直しを行い、2021年4月から、本学大学院農学生命科学研究科の附属施設として新たなスタートを切りました。