
1963年、奈良市に生まれる。1997年に、京都大学農学研究科博士課程林産工学専攻を修了し、同年、「木材の横圧縮大変形の永久固定」により、博士学位を授与される。日本学術振興会特別研究員を経て、1998年に、京都大学木質科学研究所助手となり、2004年、改組のため生存圏研究所に配置換えとなる。2005年2月、アジア生物資源環境研究センター助教授に採用される。
専門は木材加工学。特に、『圧縮木材』の製造原理、生産システム、評価、利用に関する基礎および応用研究を行っている。木材は中空セル構造体であるため、繊維と直角方向に横圧縮大変形すると、圧密化され、強度物性、意匠性、加工性能などが向上する。これによって、低質早生樹材の材質改良が可能となり、スギ、ファルカータ、オイルパーム、タケ材など、アジア地域の未利用材の用途拡大を図ることができる。また、横圧縮大変形技術を応用した木材乾燥、薬液注入技術に関する研究、さらに、木質が強靱かつ軽量である特徴を活かした圧密木質釘、ダボ、シアープレートなどの木質接合具の開発に関する研究などを行っている。ここでは“環境低負荷型木材利用の提案”や“高層木造建築の構想”など、これまでの木材利用をブレークスルーする新技術の創成を目論んでいる。この外、タケ、ケナフ、サイザル、マニラ麻などの植物繊維を利用した高強度繊維配向材料、木材プラスチック複合体などの開発、化学処理や高温高圧加熱処理などによる木質素材および複合材料の高強度化、寸法安定化に関する研究を実施している。
以上、新しい木質材料とその加工法に関する要素技術の創成、開発を通じて、木質バイオマス資源の理想的な循環システムの構築に寄与し、アジア地域における環境共生・資源循環型社会の実現に貢献したい。
研究室ホームページ
http://smd.anesc.u-tokyo.ac.jp/