教授 堀 繁(ほり しげる)
 1952年東京に生まれ、下町浅草駒形育ち。東大農学部林学科卒業後、造園職で環境庁に入り、阿寒、日光国立公園でレンジャーを経験。大学に戻り、富士演習林、林学科で助手。日本の国立公園の計画思想の変遷を計画や管理の事実に即して論じた、「わが国の国立公園の計画管理の実態とその変遷に関する研究」で1993年に学位を取得。東京工業大学社会工学科で助教授を勤めたあと、現職に。

 もともと造園を専攻し、しかも国立公園の現場にいたので、自然把握を自然科学的観点からだけでなく、人の実感としてもおこない、それを計画や整備に活かすことを考えるようになった。それは、国土や地域を属地的にではなく空間的に捉えることに繋がり、空間計画・景観計画を意識し、また国立公園の利用拠点、観光地などの活性化整備やまちづくりなどにも関心を持つようになる。さらに、地域を空間計画的に見ていくと、人間の営為の集団表象の解明に繋がり、そこから、もともとの空間と整備の内容や思想の把握、現在の地域整備の計画や設計の問題点把握にも関心が広がることとなった。

 本センターに来てからは、東南アジア各国をまわり、森林を中心とする自然の現場を見るにつれ、爆発的に増えている農民の生活と自然破壊が密着していること、規制と農業収入向上という現在の2大戦略は、住民生活と自然保護がじゅうぶんリンクしていないためその連鎖を断ち切ることが難しいこと、自然保護と住民の収入が連動するシステムを作るしかないことを深く理解するようになる。そこで、自然を損なうと自然の魅力が下がって客も収入も減り、自然を守ると客が増えて収入が上がるというサステイナブル・ツーリズムを構想し、その方策を検討するようになった。

 以上のように、日本やアジアを対象に、地域の発展を前提とした自然保護や良好な国土・地域づくりを目指した研究を行なっている。